個人事業主の税務署への住所変更届け

やっと煩わしい引っ越し作業も終わったし、公的・私的な住所変更も全部終わった。これで、普通のペースに戻って仕事ができる。また頑張って稼がなくっちゃ……。個人事業主の方の呟きです。

でも、本当に公的な住所変更の届けはすべて終わっているのか、もう一度よく考えてみましょう。

会社員などの場合まったく必要はないし、経理部門以外の人は付き合いすらない税務署への届けが、個人事業主の場合には必要になります。

なぜかと言うと、引っ越しによって事業の拠点が変更になると、納税地も当然ですけれども変更になるからです。

それに、引っ越しにかかった費用は経費になるのかどうか、という問題もあるので、個人事業主の引っ越しについて解説します。

面倒なのでやりたくないけど、しないと駄目なの?

そうですね、届け出をしないと絶対に駄目です。

これを忘れていたり、故意に届け出を怠っていたりすると、所得税法第20条と消費税法第25条に抵触することになりますから、速やかに当該地域を管轄する税署に届ける必要があります。

でも届け出の手続きって面倒そうだけど?

届け出の方法には、ふたとおりのやり方があります。

ひとつは、最寄りの税務署に出向いて「所得税移動届出書」と言う書類に、所定の事項を記入して提出する方法です。所得税移動届出書は、税務署に必ず備え付けてありますから、それを利用してください。

もうひとつはインターネットで、国税庁のホームページを検索して所得税移動届出書をダウンロード・プリントアウトして、自宅で記入。それを当該地域を管轄する税務署に郵送する方法です。これだと、わざわざ税務署に出向く必要がないので、精神的にも時間的にも、かなり楽です。

記入事項は簡単で、納税地・氏名・業種・屋号(あれば)・届け出の日付などです。手続きにかかる費用は無料ですが、郵送をするときの切手代などは自己負担になります。

不明な点については、最寄りの税務署に直接問い合わせれば教えてくれます。納税地に変更があった場合、速やかに届け出をすることになっていますから、できるだけ早くやってしまっておいた方が良いですね。そうしないと、忙しさに紛れて、故意にではなくても忘れてしまい、法律に違反してしまうことになりかねないからです。

あと、引っ越しを機会に個人事業を廃止する場合にも、開廃業届出書と事業廃止届出書を提出する必要があるので、この場合にも速やかな手続きが必要です。

ところで引っ越し費用は経費にできるの?

そうですね、個人事業と言っても、事業にかかわる費用は経費になるはずですから、どんな項目が経費になるのかを考えてみましょう。

まず敷金です。これはまた退居することがあった時に、問題がなければ戻ってくるお金なので、経費にはできません。固定資産として計上することになります。退居する際に、差し引かれた金額は、この時に修繕費として計上します。

次に礼金ですが、これは20万円以下でしたら地代家賃として経費にできます。20万円以上でしたら、資産として計上して、基本的には賃貸期間、あるいは5年間で減価償却してください。

それと不動産会社への仲介手数料と引っ越し業者への支払いです。まず、不動産会社への仲介手数料は、支払手数料の勘定項目で処理できます。また、引っ越し業者への支払いですが、こちらは雑費として計上できます。

青色申告で支払手数料の項目がない場合には新たに項目を作るか、これも雑費として処理可能です。

あと、火災保険などの損害保険料ですが、損害保険料の勘定項目で処理できます。毎月発生する家賃や管理費についても、経費計上が可能です。

ただし按分と言って、住宅をどれぐらいの比率で事業に使っているのか、と言うことをすべての項目に対して行わなくてはいけません。例えば住宅の50%を事業に使っている場合、すべの項目の50%が経費になると言うことですね。ここは大切なポイントですから、しっかり把握しておかないと、後でとんでもないことになるので注意してください。

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