引っ越しで悩む問題のひとつに、ご先祖様をお祭りしてる仏壇や、神様をお祭りしてある神棚の移送があります。
ご先祖さまや神様に対して、失礼がないような扱い方の作法を知らないし、もし作法と違ったことをやってしまい、後々何かあったら、などと考えるとちょっと怖くなります。まして、ご先祖様を大切に思い、神様を敬っている人ほど、こういった気持ちは強いでしょう。
引っ越しの時に、仏壇や神棚を運ぶときの作法と言うものはあるのか、あるのだったらぜひ知りたい。それは引っ越し業者に訊けば分かるのだろうか? もし、引っ越し業者で適当なことを言われて、後から嫌な思いをすることはないのか? などと、悩みは尽きませんね。
と言うことで、引っ越しの時に仏壇や神棚を扱う作法について解説します。
そもそも仏壇や神棚を運ぶときに作法ってあるの?
これは、一応と言うのか、きちんとした作法があります。
仏壇も神棚も、他の家具や家電と同じようにして運んでしまう、という方法は同じなのですが、その前にやることがあります。
どちらも精(しょう)を抜くと言う作法があって、その儀式を執り行ってから運び出すと言うことです。それと、新居に運び入れて落ち着いたら、同じようにして精を入れると言う儀式をすることが、一応の作法になっています。
精を抜くってどうやるの?
まず仏壇の場合でしたら、自分の家の菩提寺のご住職に相談してください。必ず相談に乗ってくれますから、引っ越しの直前にご住職が来てくれて、精を抜く儀式を執りおこなってくれます。
ただ、ご住職にもご都合がありますから、直前にお願いしても都合がつかないケースも出てきますので、引っ越しの日時が決まったら早めにお願いをしておきましょう。
それと、新居についてから行う精を入れることですが、もし遠くに引っ越すような場合でも、菩提寺のご住職が当該地域にある同じ宗派のお寺に連絡をしておいてくれますから、今度はそのお寺のご住職が来てくれて、一切をやってくれることが普通です。
もし、正式な菩提寺がない場合でも宗派が分かっていれば、近くにあるその宗派のお寺にお願いすれば、まったく同じことをしてくれるのが、一般的ですから心配はいりません。
神棚についても、方法はまったく同じです。神棚にお祭りしてある神様が、どんな系統なのかが分かっていれば、近くにある同じ系統の神社でご神職にお願いをすれば、同じことをやってくれます。
この時にやはり遠くに引っ越すとしても、同じように当該地域にある同じ系統の神社に連絡をしてくれますから、心配はいりません。
余談になりますが、精を抜いたり入れたりするのは、何も引っ越しだけではありません。古くなった仏壇や神棚を取り換えたりするときにも、まったく同じことをします。あと、お墓の修理や戒名を入れる時にも、この儀式はやると言います。
信仰心の強い人は、検討してみると良いと思います。
そこまでやらなくてもいい方法ってないの?
経済的な理由や、本当に急な引っ越しなど、いろいろな理由で精に関する儀式が出来ないことがあります。そんな時には、いったいどうしたらいいのかと、悩んでしまいます。
こんな時は、ご先祖さまや神様に「申し訳ない」という気持ちでしっかり手を合わせて、仏壇や神棚にお参りをします。その後、ご位牌やご本尊などのように、魂の入っているものを取り出して、傷がついたり汚れたりしないようにしっかりと風呂敷などで包みます。
包んだご位牌やご本尊は、引っ越し業者に任せないで、自分で運ぶことがベストなやり方です。
それと、仏壇も神棚も、旧居から運び出す時には一番最初で、新居に運び入れる時にも、一番最初に運び入れることが作法です。
梱包もできれば他の家具などとは違う、特別な梱包でやってもらうことに越したことはないので、この辺りのことは一括見積に入力しておくと、的確な回答が得られると思いますから、利用してみてはどうでしょう。
もし、引っ越し業者に任せたくないと言うことでしたら、仏壇や神棚を専門に引っ越しさせてくれる業者もあります。これも、引っ越し業者に訊くと教えてくれるケースがほとんどなので、聞いてみたらどうでしょうか。